(注:長いです。ホントにすいません)
英国のアングラ系ポストオルタナコメディでは確実にトップの1人として君臨するサイモン・ムネリー。
彼の世界に対する”笑い萌え”の度合いと、彼の笑いにハマった自分の狂気っぷりがあまりに度を越しすぎていて、
自分のなかで「パンドラの箱」状態だったんですね。
狂ってた当時の自分がこっぱずかしくて、その記憶ごと封じ込めようと、彼の笑いごと見ない、っていう末期症状です。
(
http://komeddy.blog130.fc2.com/blog-entry-397.html どんだけ狂ってたかはこの辺あたりで、ちらっとだけかいているのですが。)
そんな私の「愛余って封印」芸人だったのですが、
UKコメディウエブマガジン「
Chortle」主宰の2012年コメディアワードのINNOVATION部門を受賞していた ”La Concepta”を今年もエディンバラでやるんだ、という情報をゲットし、
ついに解禁してしまいました。
http://www.edfringe.com/whats-on/comedy/simon-munnery-s-la-concepta
その内容とは。MAX8人の観客がお客役を担い、サイモン扮するフレンチ・シェフから優雅なフルコースのおもてなしを受ける40分です。レストランにて8人がけのテーブル席に座らせられ、ワイン、前菜、メイン、そしてデザート、といただきます。
いただくのはお料理ですが、食べるお料理ではなく、コメディのお料理です。デザートまでいただいたあとは、もう、サイモンのコメディでお腹が一杯!というわけです。
。。。 きいただけで、ウズウズ、しませんか?しますよね?するんです。
私は理性がぶっとび、チケットをゲットし、当日まで心待ちに待っていたんです。
ところがですね、
あらためて当日になって考えたらば、
これって
ステージと客席の区別なし
=もしかして、芸人と客の関係って超インタラクティブなんじゃないの?
みなさんは、40分もヒーロー直々におもてなしをされるって、耐えられますか?
硬直してらんないんですよ。フラれたら、返さないと、コメディ進行しないんですから!!
飛んで来たボールを打ち返さないといけないんですよ!
ボール落っことしてごらんなさい。残りの客に大迷惑、つまり、
ヒーローに大迷惑なんですよ!
ヒーローを困らせるわけにはいかないでしょう?!
(再び)背中から血の気が
サーっと引く音が流出です。しかしながら、後悔しても遅いので、現場に向かいます。
会場前で並んでいる段階から、すでにショーはスタートしていた。
メジャーなハコが沢山あるエリアがイギリスだとしたら、この会場はシベリアみたいな場所。
回りには店の一つもないようなところだったんです。
メジャーなエリアだとフリンジのスタッフのお兄ちゃん&お姉ちゃんが沢山立っているので、「この場所どこ?」ってチケット見せれば、すぐ教えてもらえるんですが、ここ、人自体がいない(号泣)

遠くのほうで、黒いコートに黒いズボン、黒い帽子をかぶって、赤色のボクシングのグラブを左手だけにつけた怪しげな人と、2人が建物の前で並んでいるのを発見しました。
この怪しげな人が、ほぼ間違いなくヒーローであり、彼自らチケット切り係のキャラもやるんだ、とすぐに察したのですが、前述のとおり、この3人以外周囲に誰もいない状況なので、他の人に確認することも、観客2人の後にしれっと並ぶことも許されない状況で。
「あのLa Conceptaの場所でしょうか?」
(注:脳内機能してません)
「そうだよ、ここで正解!どこから来たの?」
「と、東京っす」「え?」
「東京っす」
「東京からきたの? ああ、ちょっと日本の言葉知ってるよ。。。サヨナラとコンニチハどっちがどっちだかわかんないんだよね」
「いやもう、どっちでも変わんないから」
「え? そう? どっちでも、ってイギリス人もよく言うよね。便利いい言葉だ」
極めてふっつ~の会話してもらいました(涙)。1人で来る日本人なんてもうそれだけで充分ヘンすぎて、いじりにくいったらない、ということもてつだっているのかもしれませんが。
この会話のおかげでちょっとは落ち着きました。
とはいえ、この距離はサイモン病のファンにとっては近すぎました(号泣)
だって、やっぱし、
めっちゃめちゃ、かっこいいんだもの。 (帽子のせいもありますが)
スナフキンみたいでめっちゃめちゃかっこいいんだもの(スナフキンにときめかない女性は世界にいるのでしょうか? いませんよね?いないんです。)
ポール・サイモンが大嫌いな労働者階級のロンドンのオヤジさんみたいなチケット切りの係キャラが意味不明すぎだったのは、私の笑いのスイッチが上手に入ってなかったせいです。悔やまれます。
そうこうするうちに、残りのお客さんもやってきて、開場時間に。レストランのドアが開いて入場です。
リセプションにいた女の人に「アンケート用紙を書いて!」と命令され……
名前、身長、年齢、体重(床に体重計あり)、銀行カード詳細、などなど、個人情報という個人情報をもとめられ、「早く書きなさいよ!、何やってるの、書けっていったら書くのよ!」と脅迫的に言われて、「これは、後のショーで使うネタなのかもしれない」とこと細かに記入。書き終わるやいなや、「ホラあっちいって!」という声とともに
「ボンジュ~~~~ッル!」ってフランス人シェフのキャラのサイモンが登場です。
(注:銀行カードはさすがに書いてません)
お楽しみいただけるのは、
高級レストランの芸術気取りなメニューをかたっぱしからおちょくる、究極のナンセンス・コメディ コース料理を楽しめる高級レストラン、ありますよね。
たとえば某有名フレンチレストランのメニューを見ていても、
前菜やメインに「道に沿って~一歩ずつ~」「夏の欲求」「海辺の出会い」なんつってコンセプトついてたり。
お料理も「オーセンティックなサーモンのオゼイユ風味」とか「オマール海老 柑橘類のナージュ コンディモンを添えて」とかお料理の名前なんだか説明なんだか、その説明も(小市民には)なんだか。。。具体的なんだけど、ようイメージがわかなくて。
ワインにいたっては、「神の雫」でしょう? 香りを嗅いだり、口に含んだとたんに、別世界のストーリーやシチュエーションが広がっていくんですよね?
そうした高級レストランのコンセプチュアルなコース料理を、直接的な攻撃ではなく、究極のナンセンスな世界で、おちょくりまくっています。
あまりにも究極のナンセンスすぎて、あまりに最高で、これぞスタンダップ界のアングラ&オルタナコメディを昇華させたStewart Lee, Kevin Eldon, Simon Munnery一派の世界で輝きまくっていて、
とても、ネタばれすることなど、恐れ多くてできません。( え? 汗)
今年もまだチケット残ってる日もあるし、おそらく来年も行われると思うので、
ぜひぜひぜひぜひ、チケットをゲットして体験してください。
どうしても書きたい2、3の備考1 お店ではメニューを1人1人選ぶのですが、
私は最初緊張のあまり、前菜をすっとばし、先にメインを選んじゃったんです。
そこで、周囲のお客さんは私がどのメインを食べたいかわかってる、という状況だったんですね。
それなのに、メインを選ぶときに、私の隣に座る男の人が、私が食べたいメインを頼んじゃったんです。
外国人が1人で来て、一回投げられたボールをキャッチしそこねてるってのに、
それをサポートしないなんて、なんて空気の読めないド素人だ。
とかなりむむ~~~ん、として、「私さっきからこれが食べたいって言ってたでしょう。これが食べたいんです。コレにさせてください。」ってこの男の人睨みながら抗議。「い、いいよ、交換してもいいよ」と男の人。シェフは「悪いけど、交換はできないから、他のを選んでくださいますか、マダム」
ってことで、結局残り物の、お料理をいただくことになったんです。。。
ところがこのとなりの男の人、お店を出た後この人だったことが発覚
http://www.edfringe.com/whats-on/comedy/carl-donnelly-different-gravy
イナムラ、あれだけ、いじられるのがイヤっていっときながら、
一度に芸人2人に野次飛ばしてました(号泣 2 入店後最初に書いたアンケート用紙のようなもの
「ネタに使うのかもしれないから、しっかり書き込まなきゃ!」とフルネーム、身長、年齢、体重と全部書き込んだ例の用紙、どうもそこで客をビビらせる笑い効果のために使っていただけで、コース料理の間な一切使うことなし。
一度に芸人2人に野次飛ばした上に、身元を明らかにして、お店を後にしてしまいました。。。ホントに恥ずかしくて生きていくのがつらいんですが、どうしたらいいでしょうか?