ヘッピリ腰でお気楽主義なので、
普段はこういう話題は避けるタイプなのですが、
今回はリッキー・ジャーヴェイス・Ricky Gervais の(他の芸人に比べての)日本での認知度の高さと
彼がツイッター上でやってる“笑い”(彼曰く)と
ガーディアン紙にまで書かれるほどの大騒ぎにまで発展していることから、
”英国のコメディは差別的笑いが多い”というイメージが助長されかねないと思い、ちょっとだけ書くことにしました。
注:以下はリッキー・ジャーヴェイスをディフェンスするものではなく、イギリスのコメディをディフェンスするものです。そんなわけで、リッキーの大ファンの方には、あまり気持ちのいい記事ではないと思いますので、ご了承願います。(アイドルじゃないんだから、大丈夫かと思いますが 笑。しかし、欧米には盲目的にリッキー・ジャーヴェイスを崇拝するファンが異常に多く、その光景はかつて(今も? 汗)モリッシーのファンベースを思い起こさせます。。。)
前からリッキー・ジャーヴェイスはあまり気持ちのよい笑いを繰り広げる芸人さんではなく、
差別的な発言や、人が触れて欲しくない部分やフィジカルな欠点をネタにするタイプです。(bullying comedyって感じですかね 汗)
しかしながら、それが笑いとして成立していたのは
例えば”笑いの対象”がそんな発言や言動をしてしまうthe officeのキャラクター「デイヴィッド・ブレント」だったり、
360度公衆の面前でゴシップ記事にされている超セレブだったりしたからです。
今回の問題沙汰は、40万以上ものフォロワーのいるリッキーがツイッター上で、”MONG”という言葉をつかって人をおちょくり、フォロワーにもこの言葉を使うように指示したことにあります。
(すみません、ワタクシはリッキーをフォローしていないので、キャプチャーができておりません)
この言葉は、ダウン症の方に対する蔑称です。
使ってはいけない言葉として一般的には認識されています。
ただ、最近の若者の間では、ドラッグやアルコールででろんでろんに酔っぱらった人に対してこの言葉を使うらしく(私は若者ではないし、差別的な使い方以外できいたことがないですが)
リッキーはこの言葉の使用に関して、”ダウン症の方に対する差別的発言ではない、idiotなどと同じ意味合いで使っているだけだ”と主張しています。("ie I never use the word Mong to mean anything to do with Downs Syndrome. Just like I never use the word cunt to female genitalia." とツイートしていたそうな。)
しかしながら、彼がmongといいながら添付する写真や、フォロワーがmongと呼ぶ対象は明らかにダウン症の方なんですね。
"Ricky Gervais... seems to have spent the first couple of weeks mainly posting pictures of himself pulling the kind of faces that school children pull to parody the disabled and calling people "mongs"." (
Richard Herringのブログより)
で、このリチャードのブログを読んだリッキーのフォロワーが
"Who the hell is Richard Herring? I'd call him a mong, but I don't want to insult mongs!! :-)”とツイートし、リッキーがRT。40万人のフォロワーがこの言葉を使い、読み、笑い、リッキーがRTをするということが繰り返されているのです。
リチャードに対するツイートで証明されているように
最初のmongと後のmongは使っている対象が違うことをおわかりいただければ、この事態がどれだけとんでもないことか、おわかりいただけるかと。
差別的使用からはじまり、一般的に別の意味で使われるようになってきた言葉はいくつかあり、
例えば”gay”とか、今は、可愛いとか女の子らしいとかいう意味で使っていたり。
でもやっぱりほとんどが使い方に気をつけないといけない言葉ばかりです。
往々にしてイギリスのコメディ内で、差別的な言葉を発するときは、その言葉が持つ差別的意味や対象に対して笑うのではなく、その言葉を発した人の一般的常識のなさを笑う。
または、(スタンダップなどの狭い空間で)芸人と客の間で”あ・うん”の呼吸が伝わっているという場合だと思います。
リッキーが本人”リッキー・ジャーヴェイス”として発している以上、
ツイッターという”誰も”が読める場所は相応しいものではない。
彼のやっていることに対して、かなりの人が反応し、やめるよう、求めています。
the Guardian、
Chortleでのブログ記事もみな批判的です。
というわけで、イギリスのコメディは攻撃的で差別的なものが多いとか、思わないでもらえるとうれしいです。。。
私はイギリスと日本で育った20代の者です。この騒動以前にも
普通にmongという単語を使っていました。
いわゆるイギリスでのゆとり世代である私はmongとはidiotという
意味でしか使ったことがありませんでした。
若い世代は特に、mongという単語にダウン症を結びつけて考えて
使っている人は少ないと思います。