ショーンへの私のダダ漏れ愛 in 1990sはこちら。
どうしたことか、
今年は私の本能が「Sean Hughes行っとけ!ヤバいよ、そろそろSean がクルよ」って叫び続けておりまして
おそらく、本格的にスタンダップへ復帰して数年経ち、昔の感覚が完全に戻り、その先の素晴らしいものへと昇華している時期なのでは、という期待感がフツフツと沸き起こっていたからかもしれません。
今年ショーンは2本ショーをやっています。

Life Becomes Noises
http://www.edfringe.com/whats-on/comedy/sean-hughes-life-becomes-noises
Stands Up
http://www.edfringe.com/whats-on/comedy/sean-hughes-stands-up上のショーは、昨年おなくなりになったショーンのお父様へのトリビュートともいえるべきショー。
下が本来のショーンのライブです。
復活した姿の素晴らしさを確認するには
下のタイプのショーだけど、上のトリビュートタイプは今年でなければ絶対に見れない。
というわけで、「Life Become Noises」を観に行きました。
以下はその内容と感想です。
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前述のとおり、ショーンのお父様が昨年おなくなりになった。
大切な人の命が短いとわかったとき、そしてほんとうに二度と帰らない人となってしまったとき、
受け入れ難い現実を受け入れるまでの過程をくぐり抜けることに精一杯で、
「大切な人との残された日々の過ごし方」や「大切な人を見送る行為」に後悔が残りがち。
「こんなことがあったとき、こうすればよかった」
「こんなこと言われたときに、こういえばよかった!」
ショーンのなかで、亡きお父様との日々を回想するたびに、そんな思いがどんどん増幅。
じゃあいっそのこと、ここで「こんなことをやりたかったよ」「こういう切り返しをしてもよかったよね」
そして「”死”というものをそこまでおごそかで、深刻に扱わなくてもいいんじゃないの?」と。
もっと大切な人を見送るんだから、もっとユーモアあふれる、楽しいさようならをしたいよ。
というところからネタができています。
ジョッキーの格好をして、馬のパペットもって登場し「お父さんが競馬大好きだったから、ジョッキーの格好して最期を見送ってあげればよかったと思って。だから、今ここでやってるんだけど、みんなも協力してくれる?」と 観客を参加させながらの冒頭ネタ。
激痛をこらえるために、お父さんはモルヒネでヘベレケになってるわけですが、その意識/潜在意識のさなかで、発するセリフの数々。いきなり 「飼ってた象はどうしたっけ?」と言われて、「お、お父さんまさか、自分がもうすぐ死ぬことを言っているの?(=Elephant in the roomという表現があるので)」と思いきや、ホントに象の話をしていた、とか。
冒頭の馬もですが、象や鼠など、パペットを登場させて、自分が思い描く世界をシニカルに繰り広げたり、
先生も、死亡届のサインをお願いするとき、この鉛筆もってきてくれたらよかったのに、って でっかい鉛筆もってきたり。
「人の死を伝えるニュースを見て、必ずなくかといったらそうではなく、むしろMaster Chef(勝ち抜き料理対決番組)で、メロウなBGMが流れるなか、脱落者が「俺は土木業なんかにもどりたくない!シェフになりたいんだ!」とさけんでて、号泣しちゃった。ほら、人の死っって、そんなもんだったりする。と、BGMかけて、買いたいパンが2pたりなくて買えなかった話をしたり。
それは、まさに、一見かわいくみせておいて、めっちゃ言ってることシニカルやん!
の、大大大好きだった「Sean's Show」時代のショーンの世界。
ショーンは90年代(お父様がご健在だったときですね)お父様との確執をよくネタにしていました。
父が家長の厳格なカトリック(アイリッシュなので)教の家庭の生活は、ショーンにとってはいちいち
Rage Against the Machineだったわけです。(→ゆえにネタになる)当時は20代ですから、当たり前です。
今回は同じシニカルな笑いでも、そこを超えた「父親」への愛に満ちあふれていて、
ホントに笑いながら、家族愛というものの深さに感動して泣いていました。
観客を適度に参加させてからみながら進行するスタイルは、さすがベテランならではの、和やかにして
「この空気全部征す」力が場内に浸透していました。(そのほうが、観客も安心して見れるんですよね。)
これは、ナマではなくても、強いメッセージ性があり、番組化されて放送して欲しい傑作です。
もちろん、ナマが面白いんですが、
プレビューで半額で見たことが罪悪感になるくらい。
というわけで、ショーンのもう一つのショーも観に行こうと思ってます。