ラッセル君のGood NewsやStewart Leeの番組「Comedy Vehicle」(→この2つに両方でてるってことは、ある意味オイシイネタです 笑。)にあるスタンダップ芸人紹介コーナーに登場したりしていて、
昨年あたりにすでにかなり話題になっていたんですよね。
私もたしか、去年にFast Fringe Showという芸人13人くらいが2分くらいのネタをノンストップでやりつづけていくショーで、彼を観て、「なんか、声おっきくて、豪快でいいなぁ」と好感触だったんですよね。
Tony Law / トニー・ロウ です。
http://www.edfringe.com/whats-on/comedy/tony-law-maximum-nonsenseトニーはコーンウォール(イギリス南西)で生まれたんですが、2歳から19歳までカナダにいたんですって。んで19からロンドンに戻ってきて、そのまま。。。のせいか、なんかアクセントが面白い人でした。聞きやすいんですけど、「どこの人?」みたいな(笑
でもほら、容姿が気になって、ググって調べちゃうっていう種類ではないので。。。
そのまま、放っておいたのですが。。。
今年、私の好きな芸人さんがこぞって、「Tony Lawおすすめ!」って喋っている記事を読んだので、
へええええ、っと観に行きました。
そしたらば!!
ワテクシ、笑いの大量破壊兵器を発見してしまいました。
以前の記事で、
「ハリー・ヒル」の真似できる人、いるんかいな? ってぼそぼそ書いたんですが、
も、も、もしかして、彼が?! と思ってしまったほど、すごかったです。
内容はタイトルどおりの、MAXIMUM NONSENSEとにかくパワフルで声がでっかくて豪快。
お昼の12時半というスロットにはおよそふさわしくない、テンションの高さとエネルギー消費量でド肝を抜かされます。
「この時間帯しか空いてなかったんだぜ! だからなんのプレッシャーもない! そうら、みんなでせ~いのっ! BANTERS! (いわゆるおバカジョーク、ってやつですかね)」って、いわゆるベタベタのナンセンスジョークの連打からスタート。科学的に立証されない事実を元にしたネタを使い、誰かに突っ込まれる一瞬の隙もあたえず「BACK OFF SCIENTISTS! IN YOUR PENS!」って叫んだり、
前列に座った観客の名前をきいておいて
彼が名前を言ってる最中に、
「ポール・ポット?! ポル・ポトかよ! この虐殺者!」と、極めて一方通行っぷりを見せてくれます。
そんな「名前は?」「どっから来たの?」系でふっておきながら、観客をいじるってことを投げ出して
「どこから来たの?って意外と答えるの難しいよね。自己アイデンティティにもつながると思うけど」って流れで、自分の話へ。「海賊」になりたかった、ラッキーにもおじさんが海賊で。。。って海賊ライフの体験談をガンガン喋りだします。(もちろんネタです)
ガンガン喋っていてぜいぜいしちゃったところで「もう1人のおじさんは。。。」って今度は別のおじさんの思い出話(ネタです)。これも、ガンガンしゃべって、そのホラ話がだんだんホラすぎて、もうこれ以上限界ってところまできて、「ああ、こういうときに、名作に登場する名前や土地名をひっぱってこれる芸人さんに憧れるよね」
って、今度は「憧れの芸人さんみたいにアレがやりたい!」ネタに突入。
ギター持って一発ギャグやる芸人さんに憧れるんだけど、ギター引けないから。。。って 舞台袖から得体の知れない民族楽器(これがめっちゃくちゃデカイ)を取り出してきて演奏をおっぱじめる。
んですが、弾いては中断しくっちゃべり、くっちゃべっては弾いてを繰り返し
「喋りながら演奏できない」しかも
「一発ギャグが作れない。。。そして気がついたら楽器を片付け、別ネタに移り。。。
と、一事が万事こんな感じですすみます。そして最後に「これは今回初めて披露する自信のネタ」「これで俺は一気にメジャーになる! アングラ生活とはおさらばだ!」とあまりにも強引な展開でフィナーレへ……
「この1時間をとおして、こんなメッセージが。。。」とか「こんなテーマが。。。」とか「こんなことを言い当ててて面白い」みたいな、
そんなものが一切ない正真正銘の「MAXIMUM NONSENSE」です。
「俺の中にはモンスターがいる」を笑いに表現すると、こんな感じ? トニーの笑いを観て、「コイツ、ゴジラだ」と思いました。
大きなオチを求めて突き進むだけ突き進むんです。でも、どんなに突き進んでも大きなオチがなく、”あああああ、じゃあ、こっちに行こう!”って方向転換し、また大きなオチを求めてガンガンすすむ、ガンガンすすむんだけど、そのネタの大オチがまた見つからない。”あああああ! じゃああ今度はこっち!”ってまた別ネタでガンガンすすむんだけど、、、ってことの繰り返し。まさに大怪獣が人間界でビルを破壊し、人や車を踏みつぶし、とっちらかすだけ、とっちらかしておいて、収集つかなくなって。。。。えええっと、”ギャオおぉぉぉぉぉぉー。”と叫んどく? みたいな。
この笑いのスタイルが、トニーが断続的に繰り返す「海賊になりたい」とか「普段は見せないけど、俺の中にはEVILなモンスターがいる」とか「●●なシチュエーションで、俺ついにほんとうの自分を出しちゃったよ。ギャアアアアオオオオオオ!」みたいなトークとオーバーラップ。おまけに最後のとっておきネタは「象」ですから。(→この象ネタは、近年希にみる、「何度も観に行きたくなる」ネタです。私2回も観に行っちゃったんです)
壮絶にくだらない、何の関連性もないネタをばらまくだけばらまいているだけなんだけど、その彼の作り出す空間がキレイにシックリと収まっている。
ただのエンタメおばか笑いじゃないです。これは、
High Art同等のアート芸術と認めるべきです。
確実に系統はStewart Leeなどがやっている手合いのものなのですが、トニーならではの世界ができてます。超新鮮で最高です。マジでめちゃめちゃホレました。
英国コメディのスタンダップ界にとってTONY LAWは外せないです。
とっちらかすだけとっちらかすトニーが、次に一体どんなネタで「お片づけ」を計るのか。
今から楽しみでしょうがありません。
あまりにおすすめなので、トニーのYOUTUBEリンクを貼付けようかと思ったのですが、
う~ん、クリップだけだど、ただのナンセンスオヤジみたいな感じなので、
ぜひ、ナマを、ナマを観てください!
観てみたい!と思いました。
生では多分しばらくそんなチャンスはやってこないので、DVDなんかででも出てくれたらいいな~、と思います♪